世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
息をふきかけて冷ましてから、口の中へ。
もぐもぐと口を動かすと卵粥の味が口の中へと広がっていく。
…少し、しょっぱいけど美味しい。
お粥を食べる度に胸が熱くなってきて、涙がこぼれ落ちそうだ。
私は、もう二度と詩優の手料理を食べることはできないのかな……。
詩優は、用事があるからじゃなくて怒って部屋を出て行っちゃったのかな……。
私に疲れちゃったのかな……
そう考えると涙がたくさんこぼれ落ちていく。
もうわがまま言わないし、頑張って彼女の自覚ちゃんと持つから……
マグカップのことももういいし、言いすぎたことちゃんと謝るから……
早く帰ってきてよ、詩優…。
そう願ってもこの日、詩優は部屋に帰ってこなかった。