世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
「わ、私──────────────、」
「却下」
私が最後まで言い終わる前に詩優に制された。
まだ内容を言ってないのに、私が何を言いたかったのかが分かっているかのよう。
「私、まだなにも言ってないよ…っ」
隣にいる詩優をじっと見つめると彼はため息をひとつ。
「どうせ“私が行く”とか言うつもりだろ。そんな危ねぇことさせる気ねぇから」
今詩優が言ったのは私がさっき言いたかったこと。
…なんでわかったんだ。詩優は私の心の中まで読めるようになったの!?
「俺が何とかするから。花莉はここにいて」
そう言って詩優は繋いだ手を強く握る。
詩優の強さを疑うわけじゃない。
彼が強いのは近くでよく見てきたし、最強だと思うけど……人質がいるとなると今度は詩優が危険なのではないか。
もし、空木さんの首元にナイフを当てられたら…詩優は動けなくなる。
空木さんだけじゃなくても、空木や久我だって…。
そう考えるともっと不安になってしまう。