世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
詩優は瞬きを数回。
それからやっと口を開いて。
「…覗いていいの?」
口角を上げて私に聞いてくる彼。
さっきまで目も合わせなかったのに…。こういう時だけからかってくる気なの…!?
「の、覗くのはだめ!!一緒に入るの!!!」
私は詩優の背中を押して脱衣所へと連れていく。
「5分後に行くからね!!!」
私はそう言って脱衣所の扉を閉めた。
はっ、と我に返った時には……顔がすごく熱くなって、胸がドキドキと暴れ出す。
わ、私は…なんてことを言ってしまったんだ。
詩優と話したかっただけなのに…!!詩優がからかってくるから、つい勢いで…。
確かにお風呂でも詩優と話せるけど……。
何もそこで話さなくても…。
い、今から『やっぱり一緒に入らない』なんて言ったらだめ…だよね…。
そんなの私から誘ったのに逃げてるみたいになっちゃうし、もっと気まずくなっちゃうかもしれない。
ここは覚悟を決めるしかないんだ。