世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
や、やっぱり私には無理だ…っ
部屋から急いで出ようとしたら、とあるものが目に入って足を止める。
小さなテーブルの上にあったもの。
それは、ビニール袋の中に入っていて…。
だめだと思っていても、ついその袋に手を伸ばしてしまう。
袋の中には、割れてしまった白猫のマグカップ。そして、その割れた破片を少しくっつけたのか破片と破片がくっついているところがあった。
もう一度テーブルに目を移すと、接着剤が置いてあって。
…割れたものをくっつけてなおそうとしていてくれたんだとわかった。
こんなに細かい破片まであるのに……。
胸が熱くなっていく。
元通りになおそうとしてくれた、その気持ちが本当に嬉しい。
嬉しすぎて涙が出そうになって、割れてしまったマグカップを置いてから慌てて袖で拭う。
詩優の下着も持っていこう。
そう思い、タンスへと再び手を伸ばして。下着が入っているところを探して、1番上に入っていたものを手に取る。
そしてそれをできるだけ見ないように彼のバスタオルの間に挟んだら、私は部屋を出た。