世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ




も、もう5分経ったかな…。

私はタオルを持って、脱衣所の扉の前で深呼吸を数回。




ここの扉を開ければ、奥にガラス張りのお風呂場が見えるから……緊張してくる。




バクバクと暴れる心臓。
扉をノックしようとして、その手が止まって。




もう一度深く深呼吸。




今度こそ扉を3回ノック。
すると、奥から「…どーぞ」と言う詩優の声が聞こえてきて。




再びバクバクと暴れる心臓。
私はゆっくりと扉を開けた。




お風呂場のガラスは幸い曇っていて中は見えない。




ま、まだ、だ、大丈夫。


ゆっくり脱衣所に足を進めて、扉を閉める。
カゴの中に持ってきたものを入れて。




自分が着ている制服に手をかける。




い、一緒にお風呂、だから…は、裸になるのは当たり前なのに……。
恥ずかしすぎてすごく水着を着たい、なんて思ってしまう。




詩優と…し、した時にもうお互いの身体は見たはずなのに……。
こういうのは慣れるものではない。




緊張しながら下着を脱いで。
お風呂場のドアの前で




「…は、入る、ね」




と声をかけた。
「…おう」とドア越しに声が聞こえてきて、私は電気を消してゆっくりドアを開けた。




< 529 / 839 >

この作品をシェア

pagetop