世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ



でも彼はそれが気に入らないみたいで。



「30分」



と言い張る。
少しも諦めてくれない、ということなのだろう。




どうしよう…。
本当に30分も写真撮られ続けるの…?でも、逃げるわけにはいかないし…、何より私は詩優と一緒にいたい。




せっかく久しぶりに一緒にいられるんだ。
その時間を大切にしたい。




…なら、30分我慢するしかないのだろうか。
……いや、ある。詩優と一緒にいられて、写真を撮られない方法が。




「い、いいよ…!!」




私はとあることを思いついてそう返事をした。
すると、詩優はスマホの画面を開いて時間を確認。




「今が23時45分だから、0時15分までな」




そう言ってからスマホをカメラモードに切り替えて。「こっち向いて」と言ってきた詩優。





私は精一杯笑顔をつくって、ピースサインをする。
絶対引きつった笑顔になってしまったけど、シャッター音が聞こえたら手に持っていたマグカップに口をつけて麦茶を一気飲み。




そしてマグカップを目の前のテーブル上に置いてから、立ち上がって全力疾走。



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