世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
「帰れ」
「雷龍に入れてくれたら帰る~」
「…まだ諦めてねぇの?お前は空木を守りてぇんだったらこっちに来るべきじゃねぇって。早く帰れ」
「え~」
車の外でのそんなやり取りが車内に聞こえてくる。
空木も、空木さんと一緒で諦めが悪いみたいだ。…さすが姉弟。
「…わかったらもう────────」
「おーい、乃愛~!!この高級車でシユーが送ってくれるって~!!」
空木は急にそう言って昇降口に向かって大きく手を振る。
空木さん!?
驚いて思わず昇降口の方に目を向けるが、車内からだとよく見えない。
詩優も昇降口のほうへと目を向けた、その瞬間。空木は車のドアを開けて。
なんと隣に乗り込んできた。
空木が車のドアを閉めようとしたところで詩優はそれを制し。
「…お前まじでなにがしてぇの」
空木にそう言った。
「俺は雷龍に入れてほしいだけだって」
そう返す空木。
詩優はため息をひとつ。それから口を開くが、今度は
「玲央!!!!!詩優先輩もっ!!!」
聞こえてきたのは空木さんの声。