世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
「すこーしくらいの可能性はあると思うんだよねぇ。これでも俺は元総長だから」
全く動じない空木。
空木は確かに元総長で、喧嘩は強いのかもしれないけど…。目の前にいる詩優は世界No.1の暴走族の総長だ。
その人に喧嘩を売るなんて正気の沙汰じゃない。
「…1日頭冷やして出た結果がこれ?」
「シユーがなかなか入れてくれないから~」
「お前は空木を守りてぇんだろ?これ以上巻き込みたくねぇならお前は族になんて関わんな」
「え~」
「つーか、これ言うの今で3回目くらいなんだけど。これはお前が1番わかってんだろ?くだらねぇこと言ってねぇで早く帰れ」
詩優はそう言って、私の手を引くと教室の中へと入る。
「今日の昼休み、屋上で待ってるから~」
背後からはそんな声がしたけど、詩優は一切返事をせず。振り向きもしなかった。