世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
なんて思ったけどゆっくり墓石に水をかけたら無事に濡れることなく終えることができた。
それから詩優がお線香をたいてくれて。
一緒に手を合わせる。
「小さくて可愛いこの小動物が俺の彼女です」
隣から聞こえてきた声。
「!?」
気のせいか、今…“小さくて可愛い小動物”って……!?っていうか絶対気のせいじゃない!!
「人間の妃芽乃 花莉ですっ!し、詩優さんとはお付き合いさせていただいてます…!」
私は手を合わせて大きめの声でそう言った。
“人間の”は少しおかしい気がしたけど…。小動物と本当に思われるよりはまだいい。
それを聞いた隣に並ぶ詩優は「ふっ」と笑いだす。
詩優が小動物とか変なこと言い出すからこう言うしかなかったのに…!!
…でも、最初の言葉をちゃんと言えたおかげで少しだけ緊張が和らいだ。
「詩優さんはいつも明るくて、優しくて、みんなの人気者で……私にはもったいない人です」
声に出してぎゅっと強く目を瞑る。