世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
*
話が一段落したところで、私はスマホを持ってトイレへと逃げた。
スマホの連絡先を開いて、【夜瀬詩優】をタップ。
…もう、どうしたらいいのかわからなかった。
体が小刻みに震えて、止まらない。
『花莉!?』
呼出音の後に、すぐに耳に届いた大好きな彼の声。
安心感が胸に広がって、こぼれ落ちそうになった涙を袖で拭う。
「……詩優…」
『どうした!?』
「……どうしたらいいのかわからないの…。関根さんが幸せそうで、私は何も言えないよ……」
『…花莉が聞きたかったことは聞けた?』
「いつから付き合ってるの、って聞いたの。そしたら…高1の春から、って……。
合コンで知り合ったみたいで…」
『関根が何かされてるとかじゃなさそう?』
「…すごく幸せそうだから……何もない、と思う…」
関根さんが暴力を振るわれているなら、あんな幸せそうなら表情は絶対にできないだろう。