世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
詩優はもう一度口元に指を当てて、合図を送る。
“静かにしてろ”ってことだろう。
私は彼を見上げながらこくんと頷くと、布団を被せられて、視界が真っ暗になった。
ドクドクと早く動く心臓。
さっきから、嫌な予感が消えない。
…康さんか奏太くんたちが部屋へと来たのかも、って思ったけど……私はカードキーをなくしてしまった。
それが誰か知らない人に使われてしまったんじゃないか、って……考えしまうんだ。
だとしたら、詩優が危ない。
…なにか武器になるものは……
考えてみたけれど、この寝室には目覚ましで使ってるスマホしか持ってきていない。
…いざとなったら、これを投げるしかない。
でもでも、まだ、康さんか奏太くんたちという可能性もある。
何かあったのかもしれないし。
康さんか奏太くんたちでありますように…
そう強く祈った
──────────その時だ。