世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
作戦の実行
京子side
「りゅ、竜二」
2時間目の授業が始まる直前に、私は隣の席の竜二に声をかけた。
すると、すぐにこっちを向いてくれて。
私は勇気を振り絞って
「数学の教科書忘れちゃって……一緒に見せてもらってもいい?」
と聞いてみた。
次の授業は数学。
本当は、数学の教科書は持ってきている。だけど、嘘をついたのは……
竜二との距離を少しでも縮めたかったから。
緊張しながら竜二の返事を待ったら、すぐに
「あぁ」
と返ってきた返事。
それから竜二は机を動かしてきて、私も慌てて自分の机を動かして、ピタリとくっつけた。
一気に近くなった竜二。
なんだかいい匂いまでする。
…心臓が暴れ出す。
「あ、ありがとうね、竜二」
ちらりと隣にいる竜二を見ると、近くなった距離で交わる視線。
心臓が跳ね上がって、聞こえてしまわないか心配になった。
「あぁ。それにしても京子が忘れ物なんて珍しいな」
「き、今日は……朝からぼうっとしてたから荷物の確認忘れて学校来ちゃって……」