世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ





“竜二と京子も”
というのは、後ろの席の詩優と花莉がいつも机をくっつけているから。

後ろの2人は相変わらずラブラブ。




「私が数学の教科書忘れちゃっただけよ」




平静を装って倫也にそう返す。
これで大人しくしてくれればいいんだけど……




「へぇ~?そうなんだ~」




なんてにやにやしながらこっちを見てくる。




「もうすぐ授業よ。早く前向いて」




倫也にそう言ったところで、学校内に響き渡るチャイム。
それからすぐに数学の先生が教室に入ってきて。倫也はにやにやしながらも前を向いてくれた。





…助かった。
倫也は変に鋭いところがあるから……私が竜二のことが好きっていう気持ちに気づいてしまわないかひやひやしてる。





気づかれないようにしないと…。
平常心、平常心。




気持ちを切り替えて、さっそく始まった授業に集中。
先生の話をよく聞いて、ノートをとって。




…って、集中できるわけないじゃない!!




平常心を保とうとしても、ドキドキと高鳴る鼓動。
ちらりと見てしまう竜二の横顔。





好きな人が近くにいて、授業に集中しようとしても全然できない。




< 710 / 839 >

この作品をシェア

pagetop