世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
すぐ近くで聞こえる声。
さらに近くなった距離に、心臓がさらに加速。
…竜二に聞こえてしまわないか、すごく心配。
「────わかったか?」
説明が終わった竜二は私の顔を覗き込んでくる。
「わ、わ、わかった…!!!」
慌てて返した返事。
それはなんだか不自然なものになってしまった。怪しまれないようにしなきゃいけないのに……私の馬鹿!!!
竜二は私の顔を見つめて…。
少しの間無言。
…絶対、怪しんでいる。
本当はこの問題が解けることもバレたんじゃ……
何か言い訳を必死に探して、口を開こうとしたその時。
竜二は私が手に持っていたシャーペンをするりと奪い取る。それから
「こことこれをこうして、これをこうする」
と言いながら私のノートに解き方を書いてくれた。
それも、わかりやすく。
「とりあえずこのとおりに解いてみるといい。それでもわからなかったらまた教える」
シャーペンを返してくれて、離れていく竜二。