世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
あまり、いい予感はしないけど……
その人を待たせるわけにもいかず。
自分の席を立って教室の扉の方へと行こうとしたら……───────パシっと手首を掴まれた。
くるりと振り返えると、私の手を掴んでいたのは…まさかの、竜二。
「行くな」
耳に届いた声。
幻聴、かと思った。
ドキドキと暴れる心臓。
鈍くなる思考回路。
掴まれた手が熱い。
…動けない。
ど、どうしたら……
その場で竜二に手首を掴まれてただ固まっていたら、
「京子は竜二と用事があるから無理だってさ~!!!」
と大きな声で言った倫也。
その大きな声のせいで、私と竜二に集まるたくさんの視線。
「っ!!!!!」
恥ずかしすぎて、顔が熱くて……。
周りから見られるのが恥ずかしかった私は
「さっきのお礼に飲み物奢る…!!!!」
そう言って竜二の手を引っ張った。
すると、すぐに立ち上がってくれて私たちは逃げるように教室を出る。