世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
自分を落ちつけるためにすぐに紅茶を取り出し口から取り出して、缶を開けて喉へと流し込む。
でも、全然落ちつかない。
思い出すのはついさっきのこと。
“行くな”って引き止められた、さっきの…。
…聞きたい。
なんで、さっき私のことを止めたのか。
でも、今は聞けないよ…。
ドキドキしすぎて、顔が熱すぎて、竜二の顔だって見れないのに。
ただ紅茶の缶を見つめていたら
「…さっきはあんなことして悪かった」
後ろから聞こえてきた竜二の声。
“悪かった”
その言葉が胸に響く。
まるで後悔してる、みたいな言い方。
咄嗟に間違えて掴んだ、ってこと?
…やっぱり、私だけだ。
バレンタインの時もそう。私だけがドキドキしてた。
もしかしたら……
竜二が私のことを好きになる確率なんて1パーセントもないのかもしれない。
そう思うとさっきまでのドキドキはあっという間に消えて、ズキズキと胸が痛み出した。