世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
…諦めるべき、なのかも。
ぎゅっと紅茶の缶を強く持ったら、べこっと音を立ててへこむ。
幸い紅茶はこぼれることはなく、喉へと再び流し込もうとした、その時。
「京子が他の男のところに行くと思ったら……嫌な気分になって、だな…。
それで思わず手を掴んで……本当にすまなかった」
再び後ろから聞こえてきた竜二の声。
また、幻聴かと思った。
だって…今、嬉しい言葉が聞こえてきたから。
私が他の男の人のところに行くと思ったら嫌な気分になって、って…!!
「い、今の…本当?
嫌な気分になった、って」
幻聴じゃなかったとどうしても確かめたくて、後ろを向いて竜二と目を合わせた。
背が高い竜二。
彼の顔を見上げると、すごく申しわけなさそうな表情をしていて。
「…本当だ」
と認めた。
幻聴じゃ、なかった…。
幻聴じゃなかった…!!!