世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ




やぜ、しゆう!?
しゆう、って…!!!私の隣にいる、詩優のこと!?




驚いていたらお母さんは、




「花莉と夜瀬くんは、昔も仲がよかったみたいなの」




と言って私と詩優をまっすぐに見る。




まさかの言葉。
詩優と私が“昔も仲がよかった”って。同じひまわり幼稚園、って。




幼い頃の記憶は残念ながらないけど……詩優と何年も前に会っていた、ということがすごく嬉しい。



「まだたくさんあるわよ」




お母さんはそう言って、私と詩優の前にたくさんの写真を並べていく。

なぜか私が泣いていて幼い頃の詩優に頭を撫でられて慰められている写真だったり、一緒に遊んでいる写真だったり…。




本当にたくさん。




隣に座る彼をちらりと見ると、ぱちっと目が合って。詩優も私と同じで、なんだかすごく嬉しそうだった。




「私が再婚したりで、花莉にはこのひまわり幼稚園に1年しか通わせてあげられなかったんだけど……2人は確かに昔、会っていたの。
お母さんの事情で振り回してごめんね、花莉」





お母さんは申し訳なさそうな表情で私を見る。
私は、お母さんにも感謝しかないのに…。





「ううん…!!ここまで私を育ててくれて本当にありがとう、お母さん!!」




私は感謝を伝えた。
すると、お母さんは少し涙目になって。それを誤魔化すかのように




「美味しいお菓子があるから持ってくるね」




と席を立つ。




大好きなお母さん。
今まで1人で私のことを育ててくれたから、たくさん親孝行できたらいいな。






< 727 / 839 >

この作品をシェア

pagetop