世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
「ちょっと電話してくるね」
2回も電話をしてきたということは何か急ぎの用があるのではないかと思い、私はスマホを持って部屋を出ようとした、その時。
ピルルルルルル、と急に鳴り出した私のスマホ。
画面に表示された文字は【お母さん】。
私は慌てて通話ボタンをタップして、すぐに部屋から出た。
「もしもし!お母さん!?」
『こちら南病院です。妃芽乃 桃花様のご家族の方でしょうか?』
電話越しから聞こえてくる女性の声。
この人は明らかにお母さんではない。
しかも、“南病院”って…。
…なにか、嫌な予感がした。
「…そ、そうです……」
震える声で返事をすると返ってきたのは……
『落ち着いて聞いてください。
先ほど妃芽乃 桃花様が事故にあい、こちらの病院に運ばれまして──────────────』
その言葉を聞いて頭が真っ白になった。
言葉の意味がよく理解できなかった。
スマホが手から滑り落ちていって、ガシャン!と大きな音を立てたけどどこか遠くで聞こえたような……そんな気がした。