世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
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病院に到着して、医者からの説明を聞いた。
花莉の母親は、駅の階段から落ちたらしく全身を強打しているらしい。
頭からはひどい出血をして、輸血をして10針縫う大怪我。
現在、手術は無事に終わって目覚めるのを待っている。
「お母さんがこのまま目覚めなかったらどうしよう……」
病室で、母親の手を握りながら涙を流し続ける花莉。
「絶対目覚めるから。もう泣くな。水分なくなっちまうから」
俺は花莉の隣に座って、母親が早く目覚めるようにと祈るばかり。
きっと俺が何を言っても花莉の涙を止められない。
母親が目覚めることでしか、今の花莉を安心させてあげることはできないんだ。
「…なんか飲み物買ってくるな」
花莉にそう伝えてから立ち上がって病室を出る。
さっきから泣きすぎている花莉が脱水症状にならないかすげぇ心配だったから水でも飲ませねぇと。
俺がしてあげられることは、これくらいしかない。