世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
遺書を書き終わるのとほぼ同時に車は止まる。
抱えられて車をおろされると、そこは…
橋の上だった。
車は通らず、街灯もなく薄暗くて……
乗ってきたワゴン車のヘッドライトだけがこの場を照らしているだけ。
「妃芽乃さんはもう死ぬし、これはもういらないよね」
関根さんが私に見せたもの。
それは……クリスマスデートの時に詩優からもらったペアリング。
…病室で、ネックレスを引っ張られた時に取れてしまったんだ。
それを、容赦なくぽいっと橋の上に捨てた関根さん。
探そうとしても暗くてよく見えない。
もし、見つけられたとしてもスーツを着た男の人に抱えられているから取れないけど……
あれは、私の大切なものなのに…。
橋の上を進んだところで私の足につけられた鎖を外されて、靴を脱がされて。
靴を柵の前に並べて置いて、その下ににさっき書いた遺書を置いてから私は地面におろされた。