世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ








無事に退院して、マンションの部屋まで戻ってきた花莉と俺。部屋の中でも俺がマスクをはずすことを花莉が許してくれず……つけたまま。

すぐに花莉をベッドの上に寝かせてから、久しぶりに帰ってきた部屋の冷蔵庫を開けると……。




うん。何となく予想してたけど、食べ物はほとんど賞味期限が切れていた。
使えるのは冷却シート数枚と、ペットボトルの飲み物。冷凍庫の中には念の為に以前買っておいた氷枕があった。




…買い物行かねぇとな。
それか康か奏太か壮に頼むか。




自分のポケットの中に入れておいたスマホを見ると、竜二からメールを1件受信していた。




竜二?




タップしてみると……




“宮園慶一を捕らえた。
今時間あるか?”




メールに記されていたのはそんな内容。




……宮園…

許せるわけがない。花莉を脅して連れ去ったこと、花莉を傷つけたこと。




思い出すだけで怒りが込み上げてくる。













「……詩優っ」



急な出来事に思いっきり心臓が跳ねた。
後ろから俺に抱きついてきたのが花莉だったから…。


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