世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
「花莉!!!!!!!!」
俺はすぐに立ち上がって彼女のあとを追おうとしたが、乾いた音が耳に届いて足に痛みが走る。
それでもそんな痛みも気にしる暇はなくて、体を動かして。
柵を飛び越え、真っ暗な川に飛び込んだ。
川は思った以上に深く、水面から顔を出すが花莉の姿はない。
…彼女は泳げないから、溺れたという可能性が高いだろう。
この暗い水の中、俺はすぐにまっすぐ潜って花莉を探した。
見えない。
何も見えないけど、必死に潜るしかない。花莉が落ちたと思われる、この場所を。
ただ、俺の指が花莉の身体に触れることを祈るだけだった。
花莉、すぐ助けるから。
すぐ助けるからそこにいろよ。
頼むから……
俺にまた笑顔を見せて……
祈りながら潜り続けると、手に触れたのは…
人間の足のようなもの。
ぐいっと引っ張って引き寄せれば手のようなものが触れて。
この手の主が誰なのかすぐにわかった。
いつも繋いでいるこの手を、俺は忘れるわけがない。