世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
俺はすぐに花莉の鼻をつまみ、顎をも持ち上げて。
肺に何度も何度も空気を送った。
これは、教科書に載っているのを何となく見たのと、実際に目の前で見たことがある程度。
実践は今が初めて。
間違っていないか怖かったが、辺りは暗くて人もいない。
このまま放っておいたら死んでしまうかもしれない。
だから、今、俺が人工呼吸をするしかなかった。
人工呼吸をしながら自分のポケットからスマホを取り出した時に──────────
「詩優ーーーーーー!!!!ひめちゃーーーーーーーーーん!!!!!」
近くから聞こえてきたのは、たくさんのバイクが走る音と倫也の声。
…近くにいる!!!
来てくれたのか…!!!
俺は一旦人工呼吸を止めて、スマホのライトを光らせてそれを振りながら
「倫也ーーーーーーーー!!!!!!」
と大きな声で呼んだ。
そして、その声が届いたのかバイクの走る音がかなり近くなってきて。
「いた!!!!!あそこに詩優とひめちゃんが!!!!!」
車の窓から顔を出した倫也は俺を見つけるとすぐに運転手に報告。
すると、すぐに車とバイクは止まって、何人かがこっちに向かってやってくる。
その中には榊もいて…。