世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
*
あれから詩優は、1週間目を覚まさなかった。
彼の家にはまだ連絡を入れていないらしい。
連絡を入れない理由は、詩優と竜二さんが暴走族に入る時に、“お互いに万が一のことがあった時だけ家に連絡を入れる”と約束をしていたからだとか。
万が一、というのは倒れた時や怪我をしたときではなく……
亡くなった時。
でも、詩優は私をおいていなくなったりするわけないよね…。
詩優はずっと私のそばにいてくれるよね。
だから、だからはやく…
「詩優……っ、起きてよ……っ」
彼の病室でこぼれ落ちる涙。
手を握っても動かなくて、不安になるばかり。
早く起きますように、と神様に祈ることしかできなかった。