世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
あの子の涙
詩優side
「……っ」
スモックを着た小さな女の子は、下駄箱の横でうずくまって小さくなって座る。
その子は小刻みに震えて、目を擦っていて…。
泣いているんだとわかった。
何が何だかわかんねぇけど、とりあえず『大丈夫か?』と声をかけようとしたら
「おまえ、泣いてんの?」
俺よりも先に女の子に声をかけたのはスモックを着たガキ。
その人物を見て目を疑った。
だって、そのガキは
────────小さい時の俺だったんだから。
泣いてる女の子は、ゆっくり顔を上げると……さらに驚き。
その子は以前写真で見たことがある
────────幼稚園生の頃の花莉。
顔は幼いけど、確かに面影はある。
…なんでここに?
もしかしてタイムスリップとかいうやつ?え?まじ?
つーか、俺って見えてんの?
ガキの頃の俺の前に立ってみると、いきなり横を向いた。
俺の存在は普通に見えてるのかと思ったが、それは違うみたいで。
「…っ!!!!」
ガキの俺は顔を真っ赤にしていた。