世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ





そうして、ガキの頃の俺とミニ花莉は指切りを交わして。
ミニ花莉は泣き止むことなく、母親と手を繋いで行ってしまった。





ガキの頃の俺は、どうすることもできず……ただミニ花莉が見えなくなるまで手を振って。

迎えに来た自分の母親と悠兄に抱きついた泣いていた。





これが全部現実で起こったことだったとして、なんで俺は花莉のことを忘れていたんだろう。





初恋の女の子のはずなのに。
そういうのって印象強く残るもんじゃねぇの?





と思ったところでまた周りの景色が変わっていく。

今度は……


病室。





俺はすぐに思い出した。
ここがどこで、何を言われた場所なのか。





ここで、俺は……





「夜瀬明音さんと、夜瀬悠さんが亡くなられました」





そう、伝えられた。





昔のことのはずなのに、胸が痛くなる。
思い出すのはあの時の憎しみと悲しみ。ひどく事故を起こした暴走族のことを恨んだ。






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