世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ






…たぶん、花莉のことを忘れてしまったのはこのことがあったからだ。

母親と悠兄がいなくなって、俺の毎日は嫌なものに変わってしまったから。思い出す余裕もなかった。





…ごめん、花莉。
“また会える”って言ったのに。すぐに会いに行かなくて。





心の中でそう謝ったところで、どこからが女の子が泣く声が聞こえてきた。

周りを見渡したら、今度は真っ白になるだけで何もうつらず…。





泣く声が聞こえてくるだけ。





『詩優……っ、起きてよ……っ』





震える声が聞こえてきて……。

それは花莉の声なんだとわかった。





ミニ花莉じゃない、花莉。





…また、泣いてる。
“起きて”ってことは……やっぱりここは俺は夢の中ってことだよな?





花莉はまた泣いてるから、すぐ戻らねぇと…。
今度こそ、花莉の涙を止めるために……────────。




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