世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
私はすぐにその人の元へと走った。
…夢だったらいやだ。
幻覚だったらいやだ。
「花莉…!!!!!」
彼は私の名前を呼んで、バイクからおりると手を広げる。
その腕の中に飛び込むように強く抱きついた。
…触れる。
ちゃんと、体温もある。
夢じゃ…ないよね……
視界が歪んでいって、涙が溢れた。
「…詩優……っ、詩優っ、詩優…」
何度も詩優の名前を呼ぶ。
…よかった。
目覚めて本当によかった…。
「花莉…、無事でよかった」
上から降ってくる声。
彼も強く抱き締め返してくれると、心に安心感が広がって…。
涙がとめどなく溢れてくる。
「詩優こそ…っ無事で、よかった……」
嗚咽のせいで上手く話せない。
でも、詩優はちゃんとわかってくれて頭を撫でてくれる。
温かい、大きな手で。