世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
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「花莉、こっち来て」
病室のベッドの上で私を呼ぶ詩優。
病院に戻って、彼の顔色はだいぶよくなった。
詩優の元へと行くと、彼は上半身を起こして。
私は慌てて詩優の体を支えた。
「傷が開いちゃうよ…!!大人しくしてないと!!」
「大丈夫だって」
「大丈夫なわけ──────────」
詩優の手が私の頬に触れるから、最後まで言うことができなかった。
いつの間にか、至近距離で合わさる目と目。
詩優の瞳はまっすぐに私を見つめてきて、ドキドキと高鳴り出す鼓動。
…き、キス……
そんな予感がして、ゆっくり目を閉じた。
心臓の音が聞こえてしまわないか、とか唇乾燥してないか、とかいろいろ心配になってくるけど……
早く詩優に触れたかった。
触れられたかった。
でも、目を閉じて数秒たってもキスされることはなく…。
ゆっくり目を開けてみたら、口角を上げる詩優が目に入った。