世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
「!?」
な、な、な!?
キスは!?騙された!?
「可愛い」
ふっ、と彼は笑い出すから私はすぐに離れようとした。
が、詩優は私の腕を引っ張って引き寄せると
今度こそ、唇に伝わった熱。
「んっ…」
加速する心臓。
身体中が熱くなっていって…。
詩優が生きていることを実感。
嬉しくて、幸せで、また涙がこぼれ落ちる。
もう、詩優の前で何回泣いたかわからない。
詩優と橋の上で会ってから泣いて、病院に戻る車内でも泣いて、さっきも泣いて、今も泣いて。
いい加減泣きやまなくちゃいけないのに、涙はとまらない。
詩優は唇を重ねながら私の目元を拭ってくれる。
それから唇を離して、こつんとおでこをくっつけると「泣くなよ」と言った。
「花莉はいつも可愛いけど、笑顔のほうがもっと可愛いから」
笑って、と言われ……
私は言われた通り頑張って「えへへ」と笑う。