道。_君がくれた道しるべ_ ~Blue Berry短編集~

阿部 Side

あの日、みんなですみれちゃんの家へ行った。
すみれちゃんがどんな気持ちであっても、病院に顔を出してもらうつもりだった。
なのに、すみれちゃんの家から出てきたのは、喪服を着たすみれちゃんの両親だった。

大輝「あの…。すみれちゃんは……」

その時、初めて知った……。
最後にすみれちゃんと会った次の日、すみれちゃんは倒れて意識が戻らなかったらしい。
原因は、階段から落ちた時に脳に異常が起きていたこと。
それに気づかず時が経っていた。
意識が戻ることはないだろう。
そう、医者に言われていた。

すみれ母「あの子が、山田さんと付き合ってることは聞いてました…。もちろん、移植が必要なことも」
すみれ父「すみれは、自分に何かあった時のために臓器提供出来るように、手紙と臓器提供意思表示カードを持ってました」

この時、少し胸騒ぎがした。もしかして…。
そう、思った。すみれちゃんの両親は、すみれちゃんの意見を尊重し、臓器を提供した。
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