道。_君がくれた道しるべ_ ~Blue Berry短編集~
......はずだったのに。
○○「何書いてるの?」
零「ちょっと、見ないでよ」
僕のそばに寄ってくる○○。
そんな○○が覗き込んできたのは、
今グループのみんなで分担して書いている新曲の歌詞。
ファンを好きな人に例えるというコンセプトで書かれたその歌詞を、
2人で静かに見つめる。
○○「いい詞だね」
零「そう?」
○○「うん」
この歌詞から君への気持ちが伝わればいいのに。
なんてことばかり考えていつまでも動き出さなかった自分を責めたのは、
数日後、彼女からメッセージが届いた時だった。
“好きな人ができたから、もう家に行くのやめるね”
無表情のまま返信をして、そのまま画面を眺める。
“おめでとう”と返せた僕を、少しくらい褒めてくれたっていいのに。
暗くなったスマホの画面が再び明るくなることはなかった__。
④