ワケあり男子
「乃愛ちゃんが引いてる。この辺でやめよう」



爽やかに笑う如月さんが、私の手を引く。



「キッチン手伝ってよ。バイト代払うから」



「あのっ…バイト、禁止されてて…」



「そうなんだ?とりあえずこっちにおいで」



結局、カウンターの奥へ連れて行かれた。



「太一は見た目に寄らず強引だから…ここのメンバーの中で一番のキケン人物かも。気をつけてね」



「あっ…はい…」



キケン人物…。



あのままボーッとしていたら触られてたのかな。



危なかった!



「律が来たら解放するね。バイト禁止ならそれまでは俺の相手してよ」



「あのっ…私のことなら気にせずお仕事して下さい。向こうで本読んでます」



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