ワケあり男子
「ううん、なにも…」



横に首を振るけれど、律くんはなんだか納得がいかないといった風に見える。



「困ったことがあれば俺に言って」



「うん、本当に大丈夫だよ」



「そか」



心配してくれてる…?



電車で助けてくれた時もそうだけど、律くんは優しいよね。



「乃愛、こっち向いて」



いつの間にか視線が落ちていたからか、律くんにそう声をかけられる。



見上げると、両手になにか小さなカップをひとつずつ持っている。



「アイス食う?」



アイス!?



「兄貴の知り合いが牧場でアイス作ってて、送ってきた。すげぇうまいよ」



牧場のアイス!?



食べてみたい、美味しそう!



< 123 / 160 >

この作品をシェア

pagetop