ワケあり男子
あ…。


私がトロいから痺れを切らしたのか、律くんは私の手首を軽く掴みそのままスプーンを自分の口へと運んだ。



「うまっ」



「…………」



リアクションに困る。



男の子にこういうことをしたのも初めてだし、やたらと胸がドキドキして恥ずかしい。



どうすればいいのかわからなくなって、思わずスプーンから手を離した。



「どうだった?」



「え…」



「俺、いいカオしてた?」



言われて思い出した。



そうだった。



CMっぽいかとか、そんな話…すっかり頭から抜け落ちていた。



「う…うん…」



律くんはスプーンを手に取ると苦笑している。


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