ワケあり男子
「そろそろ帰る?送ってく」



「うん…帰ろうかな」



話をすり替えるかのようにマリモくんのことはサラッと流された。



そっかぁ…男の子。



初対面はそう思っていたし、律くんが言うなら本当なんだろうけど。



女の子の方がしっくりくるって言ってもいいほど、完璧な見た目。



どうして女の子の格好をしていたの?


違和感だらけでモヤモヤする。



部屋を出て玄関まで行き靴を履いていると、律くんがちょっと切なそうに笑う。



「俺といて楽しくなかった?」



…えっ?



「どうしてそう思うの?私は楽しかったよ」



「ならよかった。元気ないように見えたから」



それはきっとマリモくんについて考えていたから。



律くんに聞けばいいのになぜかひとりで答えを出そうとしていた。





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