ワケあり男子
「あー、俺が一番かと思ったのにな。マリモ、追試受けたのかよ。今回サボったらヤバいんじゃなかった?」


「勉強してねーもん。受けてもムダ」



「ま、俺も同じようなもんだけど。河村は賢いからいいよな」



そう言って、私の方を見てくる。



そして笑顔を強ばらせた。



「え、誰?」



「今頃気づいたのかよ!河村じゃねえし。あいつの友達らしー」



「へぇ…」



律くんは首を傾げると、そのまま黙ってしまった。



柔らかな表情は消え、そのままカウンターの方へ歩いて行く。



「兄貴~、いねえの?」



カウンターの奥へ声をかけると、厨房から如月さんの声がする。



「今、手が離せない!そうそう、そこにいる女の子。初めてここを利用するから利用方法を説明してあげて」



「は?なんで俺が…」



ボヤいてるのが聞こえてしまった。


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