ワケあり男子
登録用紙とペンを渡されて、住所や氏名を記入する。



「学生証、コピーしていい?」


「あ、はい」


「律、ここでたまにバイトしてるから。手馴れてるだろ」


隣に戻ってきたマリモくんが、ククッと喉を鳴らす。


バイトしてるんだあ…通っちゃおうかな。


そこで偶然なのか、律くんとバチッと目が合って心臓が跳ね上がる。


わあっ…。


ここに来て、初めて目が合った。



どうしよう、ドキドキが止まらないよ…。



「学生証」


手を差し出されて、ハッとする。



そうだった、だからこっちを見ていただけなんだ。



私に興味があるとか、そういうことじゃないよね。




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