ワケあり男子
「はい…。河村さんは、今朝の出来事を見ていたみたいで。それで、もう一度会わせてくれるって言ってくれて…。迷惑でしたよね、ごめんなさい」


頭を下げると、ふーっと大きなため息が聞こえる。


「はっきり言うけど、迷惑。もうここには来ないで欲しい」



そう言うのは、マリモくん。



「すみませんでした」



とにかく不機嫌で、ここはもう退散した方が良さそう。



急いで立ち上がり、エレベーターへと向かう。


「あれ、もう帰るの？」



カウンターから如月さんが顔を出しているけど、なにも言わずにそのままエレベーターに乗った。



律くんの顔は…見れなかった。



きっと、こっちを見てもいないはず。



今朝はたまたま助けてくれただけ。



恩を感じてここまでやって来るなんて、迷惑に決まってる。



エレベーターが1階に着き扉が開く。



すると、目の前に長身の男の子が立っていた…。


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