ワケあり男子
「ま、いいか。迷惑なら」


そんな、迷惑なんて…。


そう思ったときにはもう、律くんは階段をのぼって行ってしまった。


ああ…行っちゃった。


親切だよね?


わざわざ、ここまで言いに来てくれた。


そして、電車で一緒にいようかとまで言ってくれたのに私ってば…。


なんだか、胸がモヤモヤする。


こういうときって、好意に甘えてもいいのかな。


黒高の男の子からも逃れられて、しかも律くんとしばらく一緒に通えたのに。



惜しいことをしたのかも…。



ううん。


退学がかかってるなら、迷惑をかけちゃダメだよね。


今私のいる場所はゲームセンターの一角で、色んな音が入り混じっている。


いつもならこんなに騒がしい場所にはいられないけど、河村さんとも会えてないし、まだ帰るわけにはいかない…そう、思い返す。


よし…。



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