ワケあり男子
「わ、わ…私でよければ…」



「うん」



にっこりと微笑む律くんに胸きゅん。



って、私の返事…なんか変だよね。



私でよければって、ちょっと違う。



そう思うものの、律くんはあまり気にしていないみたい。



「乃愛って、どの駅から乗ってくる?」



あ…また乃愛って言った。



なんかくすぐったい…。



「坂の上駅からだよ」



「俺のひとつ前だな。結構、家近いかもな」



一駅離れているし中学も違うから、家が近い可能性は少ないんだけど…そういう意味で言ってるんじゃないよね。



思ったより、近いっていうことなのかな。



「うん…」



「ゆっくり話すよな。なんか、俺のイメージ通り…」



えっ…イメージ?



「あ、ごめん。今朝より前から、実は…たまに電車で見かけることがあって。乃愛のことが気になってた…」



ドキッ。




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