ワケあり男子
「ありがとう…」



「うん。来るのが遅くなってごめんな」



「そんなっ…来てくれただけですごく嬉しいよ」


顔を上げると、律くんの優しい笑顔が見えた。


眩しい…。


どうしてこんなに優しくしてくれるの?


聞きたいけどなんだか聞けない…。


いつの間にか涙はひいていた。


「あいつらまた現れるかもしれないし、しばらく一緒に登校しような」



「いいの!?」



「乃愛が嫌じゃないなら」



そんなの、嫌なわけない…。



「ありがとう…」



明日から一緒に通えるなんて…どれだけ贅沢なんだろう。



ホームに電車がやって来て、扉近くの座席に座る。



席にまだ余裕があるから当然律くんも並んで座るのかと思えば違った。









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