ワケあり男子
「律は困った子を放っておけないだけなの。弱々しく振る舞うのやめてくれる?」



弱々しくって…。



わざとそうしてるわけじゃない。



今日まで男の子たちに囲まれて、本当に怖かったのに…。



「マリモ、それ以上言ったら怒るからな」



律くんがムッとした顔でマリモくんの前に立つ。


「そうそう、律は私のことだけ見てればいいの。あっ、駅に着いたよ」



籾高のある駅に着いたところで、マリモくんが勢いよく立ち上がった。



そして律くんの腕を引っ張って連れて行こうとする。



「またな」



律くんが私を見てそう言った。



名残惜しそうに見えるのは、私の思い上がり?



“またな” っていう言葉だけで、頬が熱くなる。



また…会える。



そう思うだけで、嬉しくなってくる。





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