fish
「光栄だね、未来の組長さんに
そこまで言って頂けるとは。」
それ以上何かを話すこともなく
彼は私を置いて先に帰って行った。
なんだか胸がギュっと苦しくなる。
...あぁそうか。
あの時あれが涙と分かってしまったのは
どうやら私がじっと見ていたからでもなく
視力が良すぎるわけでもなく
一目で恋におちていたせいだ。
旧校舎の3階から
帰っていく彼の姿を目で追いかける
それは、彼の側に降り注ぐ雨が羨ましいと思える程で
私はもう引き戻せないと自覚したあの日の空は
貴方を初めて見た日と同じように
どしゃぶりだった。