蘭蝶 短編集
「大丈夫か?」



男の人にしては小柄なパーカーの人はさっきとは打って変わって優しい声色で私に手を差し伸べながら尋ねてきた




『……大丈夫』



蘭蝶の手を掴んで立ち上がった私



「なぁ、お前…。冷蝶だろ?」



『……それがなにか?』



正直さっきの喧嘩姿には見とれたがこれ以上不良集団に負けそうになった所を見られた相手と一緒に居たくないというのが本心だった



「俺はお前を…、スカウトに来たんだよ、山梨咲さん?」



通り名ではない本名を言われて動揺する私。



すると蘭蝶は深くかぶっていたパーカーを取った



『は……おんな…?』



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