16歳。ブルーアイス。
「ひどいなぁ。そんなきたないものを見るような目で。」
腕は絡ませたまま、拗ねた口調で、上目遣いに私を見つめてくる。
その姿は流石、野球部のマネージャーといったところで、こんな顔で迫ってくる女の子のことを、きっと男という生き物は可愛いと思うんだろうなぁと、心の中でしみじみと感心する。
腕を離して、自分の席につこうとする有紗の後ろ姿を目で追う。
お姉ちゃんのお下がりだという少し短くカットされたスカートは、丈の短いシャツとのバランスを保っている。紺のハイソックスは、両足ともにふくらはぎできちんと同じ長さに止められており、ローファーの踵は履き潰さない。
例にならって地味なこの制服をきちんと着こなす有紗は、少々派手なリップをつけていようが、下品にはうつらない。
先生に地毛だと言い張る、少し栗色の髪は、細くてやわらかそう。背中半分まで伸びたその髪はゆるく巻かれており、さらさらとなびいている。
ああ、フローラルの香り。