16歳。ブルーアイス。


そんななか、隣の席の有紗だけは、まるで“女子”のいでたちなのにもかかわらず、その群れの中には入っていなくて、傍観さえせず、くりんとカールさせた睫毛をパチパチさせながら、携帯の画面を見つめていたのだった。

聞くと有紗には、中二の時から付き合っている一つ上の彼氏がいるらしく、彼が高校に入ってからもその関係は破綻することなく続き、また有紗が違う高校に進んだ今も、穏やかに続いているという。

野球部のマネージャーをしていれば、会う時間も限られてしまいそうだし、そもそも彼はやきもちを焼いたりしないのだろうかと、恋愛経験がないながらにも疑問に思い、聞いたことがあったが、
有紗はもともと高校野球が好きで、野球部に入ることは前から決めていたという。

そんな有紗の気持ちをわかってくれるのだと、やわらかな笑顔で静かに語る有紗は、まわりの女子たちよりも少し、大人びて見えた。

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