あなただけ見つめてる
「海柚は、彼のことが嫌い?」
そう聞かれたあたしは、首を横に振った
「そう。なら良かった。」
ドアの方を向くと
確かに、あの時見た王子の顔の彼がいて
「海柚の事、心配してくれてたのよ?」
え?
「自分には、不釣り合いなんじゃないかって」
そんなこと・・・
「彼もね。同じ世界で海柚が攫われそうになったのを
放っておけなかったんですって」
あの時の・・・
「良かったわね。」
でも、お姉ちゃんは
「私にもいるのよ?ちゃんと」
へ?
「大丈夫よ。海柚。心配しなくても」
「で、でも」
「彼なら、海柚を幸せにしてくれるから」
「・・・っ」
「あんたを、置いて行ったりしないから」
でも
「見捨てないでしょ?海柚の事」
「はい。勿論」
そう、自信ありげに答えてくれた彼
その答えにポロポロと涙があふれてきてしまった
「なら、大丈夫。もう、私がいなくても
平気でしょ?」
お姉ちゃん?
「私ね。彼の所に行くの。
もう、ここには帰ってこないつもり」
「・・・!?」
「海柚を置いてなんて行きたくなんかないけど
私も、彼と一緒に居たいの。
創(そう)は、こっちにいるから」
「や、やだ!やだよ!」