あなただけ見つめてる

車が来たと思ったら

「まさか」


「乗れ」

「いや。乗らない」

「てめ・・・」

「妹だからって、余計な詮索しないでよ」

「俺は、お前を妹だなんて思ってねぇんだよ」



「第一、俺たちは”義理”の兄妹であって、元は他人だ」

「だから何よ?」

「俺はな?お前のチョコがあればいいんだよ」

はい!?

「散々もらってたじゃん!」

「お前、何も知らねぇの?」

何がよ?

「あのチョコ、俺が食ってるわけじゃねぇって」

はい?

その言葉を聞いてまさかの担ぎながら
車に乗せられたあたし

「お早いお帰りなんですね?坊ちゃまとお嬢様が一緒だなんて
ワタクシは、感激ですよ」

「いやいや。無理やり乗せられたんですけど」

「何をおっしゃいますか!
坊ちゃまがこうやって手を差し伸べている。
素晴らしいではないですか」

はぁ・・・

この家の人たちには何を言ってもダメな気がする

「春果。帰ったら俺にチョコをくれよ」

「いや」
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